ノンちゃんクマに乗る 〜世界のりもの紀行

 古くは避暑に出かけた先の軽井沢で引き馬を乗り回し、大学時代には渋谷のハチ公、銀座三越のライオンなどを制覇することにより自ら編み出した「またがり技」にますます磨きをかけていたれんげ(日本記録保持者)。
 今回、れんげの成功を見届けようとパキスタンの首都イスラマバードから駆けつけた恩師、ナジブ・マハブーダ氏とともに世界を目指す。



らくだ ■らくだ 〜砂漠のハーレー

 中免(限定解除)取得者にしか乗りこなせない、非常に気むずかしい動物。すわっているときを狙ってコブの上にまたがるわけだが、当のらくだは気が向いたときに前足または後ろ足を2本いっぺんにエイッと伸ばすため、突然ウイリー状態となり非常に危険である。
 また、左右の前足と後ろ足を同時に動かすという独特の仕様は、乗る人を選ぶ風格さえ感じさせる。最低でも5000km以上の慣らし運転が必要。
 またがり体験は中国・敦煌の鳴沙山、エジプト・ギザ地区、鳥取砂丘などにて可能。



くま ■くま 〜俺の後ろに立つんじゃない

 なぜインドでくまなのか。どうして幹線道路の路肩をうだうだ歩いていたりするのか。そしてなぜ、ガイドはそんなところで車を止めるのか。
 荒縄を通してある鼻がびろびろに伸びていて怖い。じっとしていたかと思うと突然暴れ出すのが怖い。またがりながらも重心はかかと。完全に逃げ腰である。
 どうしてもまたがってみたい向きは、インド全土をくまなく捜索のこと。



象 ■象 〜やっぱりお鼻が長いのね

 背中に縁台が組んであり、4人くらいは余裕で乗れる。らくだと同じ歩き方なのでかなり揺れるが、なにせ体が大きいので乗り心地はマイルド(でも、これで走られたらたまらんな)。
 おとなしくて象使い様のいうことを非常によく聞くので、安心してまたがれる。象使い様のコスチュームや(わしの担当象使いは全身ゴールデンだった)象のボディーペインティングなど、視覚的にも楽しめる。
 指標採集:インド・ジャイプールのアンベール城にて



犬 ■犬 〜明日に向かって走れ

 犬に乗る・・・といっても犬ゾリである。素の犬にわしがまたがったら、つぶれてしまうがな、犬が。
 8頭立てで客4人+マッシャー(ソリ使い)のねーちゃん+ソリを引っ張るのだが、こいつらとにかく走りたくて仕方がないらしい。客が来る=走れる、なので、わしらの姿を見たとたん、ヨダレを垂らさんばかりにして、ワンワン飛び跳ねながら迎えてくれるのであった(囲いの中にいる「本日お休み」の犬達は、嫉妬で気も狂わんばかり)。
 観光客向けということで、あまりスピードを出してくれなかったのだが(時速25〜30km程度)、こりゃー走らせたらイクな。
 走りながら片足をあげてオシッコする姿は笑えたが、腰を落としてウンチまでするとは。爆弾よけに和式便所のフタ(モアイ)は必携(嘘)。
 指標はスウェーデン・オーレ近郊で採集されたものだが、実際に乗ってみたいという向きにはアラスカあたりがお手軽であろう。



トナカイ ■トナカイ 〜ツンドラを駆けめぐる頑固者

 「赤鼻のトナカイ」の弊害であろうか、どうもトナカイというとシカ系の体つきを想像してしまうのだが、実物はどちらかというと羊系である。当然、鼻も赤かったり丸かったりはしない(それはシカも同じだが)。
 体高は人間の胸からアゴ程度と予想に反して小さいのだが、白夜の重戦車といわれるだけあって(いま勝手に作った)、1頭で2トン引いてしまうというからすごい。
 んでまた、ゆーこと聞かないんだ、こいつら。
 群れで行動する習性があるため、仲間の1頭が動かない限り、押しても引いてもびくともしないし、逆に1頭が動き出すと、残りのトナカイはわれ先にとそいつの後を追っていく。こうなるともう誰にも止められない。ソリに乗りそこなって、30mほど猛ダッシュで追いかけましたぜ、わし。

トナカイゾリ  数台のソリにふたり1組で分乗し、タテ一列でツアーコースを走る(ガイドが乗ってるソリは一番前と後ろの2台だけ)。トナカイは前のソリを追っていくので、開けた場所はいいのだが、アップダウン&カーブのきつい山岳コースに入ると収集がつかなくなる。洗濯板状の連続コブ(どう考えてもわざと作ったとしか思えない)に差しかかろうが、ソリがコース脇に突っ込もうがお構いなし。前のソリが視界から消えた瞬間、目を血走らせてスピードアップするのであった。
 うわー立木を無視してショートカットしようとするんぢゃないー!
 指標採集:スウェーデン・オーレ近郊。



ヘビ ■番外編:ヘビ 〜暑い夏のおともに

 世界各地で厳しい修行を積み、「またがりの奥義」を極めたれんげであったが、その技術と経験を持ってしてもなお、長いものには巻かれるほかなかったのであった。
 と、いうわけで、否応なしにニシキヘビを首にかけられるわし。肩にずしっとかかる重み・・・。あああー、お願いですから動かないでぇぇぇぇー。さらに、眼前にはとぐろを巻いたコブラ・・・。
 でも感触はひんやりしていてカサカサで、ニオイもないのでペットにグーと思った。
 インド各地の観光名所前などにいるので、ぜひ一度体験されたし。