米国 自由形スキーイング 武者修行記
その11・・きびしぃ テルライド・・

しばらく家を離れて隣のコロラド州まで千数百キロを走り、
アメリカ公式戦に出場してきました。
Bump!会議室でチキンという言葉がはやったのは
この辺りにルーツが見え隠れしている気がします。

魔物(後述)の起こした事件あり、
本物のモーグルの大会ありの充実した第11章。
長文で、読みにくい所もあるとは思いますが中身もたっぷりよ。(笑)



96/02/12 ちーすー 今帰ってきた・・・

SaltLakeからTellurideまで往復2000kmくらいと思うけど・・・しんどかった・・・取りあえず、無事に帰ってきて、色々面白い話しを仕入れたので、またしばらく置いて書こうと思います。(^^;

Tellurideは噂通り、Steep or flatで、滅茶苦茶急か、なだらかしかなく、急斜面には全てコブが張り付いていて、日本にはなかなかないSteepなコブ斜面の味わえるところでした。

例えるなら、八方の黒菱のリフト際の出だしの斜度が、300mくらい続くの。(笑)んで、その後はなだらかになって、白馬47のR3くらいが500m・・・。(笑)

んだら・・・

[解説] 待望のUSSA Inter Mountain Free style Moguls(アメリカ山岳地帯モーグルスキー公式ポイント戦ってとこかな)初試合から帰ってきて一発めの書き込み。USAは広いために地区が4つに分かれています。ここはその中でも最強といわれるロッキー山脈に沿った地区。感想がなく、あまり試合内容には触れたくない様子。(笑)たぶん、往復は2000kmで足りないような気がする。



96/02/12  ちーすー ユタオフ(笑)

>のり

ん〜とね、2月の末くらいから3月の15、16くらいまで結構人がいるよ。

3/9〜3/14位が一番人が多いかな?

まあ、なんとかなると思うよ。家はアホほど広いから・・・飛行機のチケットは、まだ1月以上あるのでたまおに電話して聞くか、ABロードで調べるとちょろいでしょ。

[解説] 書き込みの中にある時期、7人が寝泊まりすることになるが、実際は15人ほど寝るところはあったのだ。かなり広い家だった。



96/02/13 ちーすー 帰ってきた報告

しばらく家を空けていました。コロラドまで行っちゃいましたよ。いや〜、アメリカは本当に広いや。やっぱり来ないと分かんないよこりゃ。

大阪から、長野くらいの距離をずっと砂漠の中のFree Way走ったりするの。そしたら、考えられへん位でかい岩が道路の両側にそびえ立ってたり色々そりゃまあ・・・

監督のJon O'Brienと昼の2時に待ち合わせて、それからJonの家で去年のNOAMのビデオをみせてもらって、坂本選手と三浦選手、伊藤選手などが出ていました。確か1位は附田選手でした。ここには昨日の優勝者ハロルドも上位でテレビに出ていました。かれはPark Cityの選手です。

JonとArches National Parkという所を通っていったのですが、着いたらもう暗くなっていました。途中色々な話をして、Sean Smith、Craig Rodman、 Gota Miura、Beau Brinkerhoff、Minna Karhuなどなど、多くの選手をWCに送り出した話とか、昔の話やら、Mogulは金にならない話とか・・・

Beau(今のちー達のコーチ)が先週BrickenridgeのPro TourでEdgerと準決勝で当たった話とか・・・ユタの南の砂漠で空を眺めてたらUFOなんかいくらでも見えるとか・・・9時間ほど一緒に話をしましたので、だいぶ色々な話ができました。

Tellurideは、広大な感じはしないのですが綺麗な町とものすごい景色に囲まれた谷間で、町よりの超ハードな斜面ばかりのフロントサイドか、お金持ちの人たちの別荘のあるバックサイド寄りの緩いところでできています。

さすがに、こんなコロラドの山奥には日本人は1人もいません。(^^; 大会の斜面は、イジメかと思うような急斜面に張り付いています。ないすーは大会横のバーンを滑ることができないので、ずっと横滑りできます。こないに恐ろしげな所を、トップの選手は25秒以下で滑り、確実にトリプルを入れてきます。本当に病気です。

ちーは、前の選手がスクリーミーや、アイアンクロスヘリ、ダブルヘリといった切れたエアーをしながら駆け抜けていくのを見て堅くなってしまって、スタートでBeauに「Tatsu、心配するな、できる、楽しんでこい」っていわれても「おらっちはやばいっす〜」ってな感じで体が固くなって、エアー後のタッチダウンや、フォールラインを外してしまったりでボロボロ・・・40秒くらいかかって、フラフラで降りていきました。(涙)

自信がないと、ここまで落ちるかと情けなくなってしまいます。ふだんの練習では、まず負けないヤツにまで負けてます。とほほほ。

来週のBogas Basinまでに、も一回精神的に強くなれるように練習するぞっと。

P.S. 先日ちーと一緒にエアーをとんでて、バックフリップで怪我をしたJasonは顎が1インチずれて、鼻が折れて、目が開かなくなったので3週間実家に帰っているということです。なんだか非常に申し訳ない。

P.S.2 上位の選手達はみんなスポンサーがついているので色々なものが見れましたが、今回の新作はHartの来年モデルで、デザインが光沢のある赤で、ベースのデザインは変わって、板のトップの方に卵みたいなのが書いてありました。Beauに聞いたら、結構堅いよっていってました。ハロルドの新Hartを見ると、金具はMarkerで、解放値は24までありました。病気かと思いました。

[解説その1 道中編] やっと、コロラド試合遠征(!?)の報告。かなりの長文です。家の近くで監督と待ち合わせて、監督の家で荷物を積み込み、ビデオを見た後出発。ユタ州北端に近いソルトレイクシティーからテルライドスキー場は南東の方角になります。無料の高速道路を4時間ほど南下。ユタ湖の脇を通り過ぎた後、高速を降りて「兵士の丘」という高地を通り抜けます。ユタ州の南部というのは、標高の高い雪に覆われた北部と違い、雪は積もるもののそれほど寒くなりません。ほとんどがあれた荒野で、牛が放し飼いされているくらい・・・。視界は開けていて何時間も同じ景色が広がります。北海道の一番長い道なんていうのは比べる対象になりません。

出発が遅かったために途中、MOABというユタ州の南端にほど近く、地図上ではGrand Canyonからもそれほど遠くない(実際には馬鹿遠い)場所に宿泊します。ここは、MTBの世界では聖地といわれる所で、コロラド川に沿った赤い泥が固まったような岩でできています。この土地については物語(!?)の最後に近い部分で紹介する事にしようと思います。

当初、かなり英語で苦労したちーもなんとか会話が通じるようになってきて、監督とないすーと、自分という「頼れるのは己のみ」状態で積極的に片道のドライブを英語で会話し、こなしたのでした。(^^; このとき、ないすーが「初めての道を夜ドライブしながら、サブウェイのサンドイッチを右手に持ち、左手にペプシを握り、膝でハンドルを操作しながら英語で話をしているちー」にえらく感心していました。超シング ルタスク人間にないすーには理解できないようです。(笑)

監督の兄は元世界チャンピオンのStu O'Brien、監督の教え子には多くのWC選手がいますが、89年のジュニア世界チャンピオンのBeauは今、コーチと、Pro選手をしており、プロ参戦しているエドガー・グロスピロンと準決勝で当たり敗れたそうです。

[解説その2 テルライド編] ようやく、テルライドに到着。ここは全米で最も美しいスキー場として知られています。コロラド州の奥深くにあり、標高は4000mに近い高い山で、昔は金鉱山でした。日本では知られていませんが、アメリカでは非常に有名でモーグルのメッカでもあります。スティープ&ディープというアメリカ人の好きなキーワードの当てはまるところで、こぶかパウダー、すばらしい景色、少ない人。というとんでもなくいい場所で、あのスティングやアーノルド・シュワルツェネッガーも別荘を構えています。

[解説その3 大会編] 実は、これが一番つらいのだが…(^^; はっきり言って、レベルが違いますわマジで・・・一緒に滑って頂ければわかると思いますが、僕は決してモーグルが下手な方ではないのです。が、この中ではお話になりません。一番良いのは、ビデオを見てもらうことですが、「なんなのこれ!?」って感じで・・・結果はめっちゃケツの方で、最悪。斜度はリステル位かそれ以上でしょうか・・・カタギの人間の飛べる環境ではありません。(笑)ちーなんぞ、ツイスプの後、爆裂です。(^^; ないすーはコース脇を降りることもできません。

おまけに、あまりにもすごい(男でシングルなんていませんで、マジで・・・)まわりのレベルに堅くなり、のども渇いて、精神状態がめちゃくちゃです。(^^; 日本で、楽しく滑って何等賞といった雰囲気ではありません。結局、ただでさえ足りない実力も発揮できずにボロボロの結果でした。
課題は、超急斜面でも飛べるしっかりしたエアー作りと、まわりに左右されない強い心ですな。(笑)



96/02/13 ちーすー 落ち込んでいるのだ

>KAN

>>「相変わらずないすーの洗脳状態は続く」か・・・

今、ないすーは落ち込んでいるのだ。ずっと、英語を話すのをちーにまかせて、自分は訳の分からないまま「イエス」といい続けていたのだが、それでとうとう事件を起こしてしまい、チームの関係者7〜10人に大迷惑を掛けてしまったのだ。

しばらく元気なさそうね。(^^;

英語人に洗脳しようとしたが、大失敗・・・

P.S. がんばれ>魔物

[解説] 魔物=ないすーの新しい呼び名。由来は 屁をこいた際に人間とは思えない臭いで、魔物級の臭いを発したことだったと思われる。
今回のコロラドでの試合旅行で最大の失敗は魔物が引き起こした!

ちーが大会後の選手のパーティーに顔を出している間、魔物はホテルで1人寝ていたのだが・・・そこへBというチームの友人が彼の悪友D(我々は彼を悪人と呼ぶ)と2人でやってきてソルトレイクシティーまで車に乗せてくれと頼んだらしい。実は、僕たちの車はFordのジープタイプだが荷物を積むと3人しか乗れないし、しかも3人目は監督の依頼によりSという人物を乗せることが決まっていたのだ。が、しかし、そこは魔物なので、BとDの依頼を理解できず、「Yes, Yes, O.K.」と快諾してしまったのでした・・・。

楽しいパーティーから帰ってくると魔物が「どうも、BとDが乗せて帰って欲しいらしいよ。」と話しています。なんでYesって言うの!? さぁ、大変です、どうしてもこのままでは5人乗れません。荷物がどうにかなればまだなんとか・・・そう考えて魔物のために監督に宛てた「荷物をコーチのトラックに積んで帰って下さい」という手紙を書きました。その手紙を持った魔物は飲みに出かけているコーチ、監督を捜してテルライドの町中(といってもメインストリートが500m位の小さな町)の酒場を徘徊したのでした。それでも酒場は20カ所以上。中学生位に見える魔物は酒場にはいることもままならないし、何を言われているかも 分かりません。10時から探し出して夜中の2時に酔っぱらっている監督を発見。早朝出発の予定を変更してもらいました。

荷物は何とかなったものの、車は男ばかりで5人。窮屈なまま9〜10時間走らないといけません。途中、数カ所で買い食いしながら走り、Arches National Parkへ寄り、奇妙な形をした巨大な岩の造形を眺めます。途中、砂漠のウサギを追いかけたりBalance Rockという岩に登ったりして遊びます。
その後、砂漠の真ん中をドライブ中、Dが「Tatsu、吸ってもいいかい?」と尋ねるので「気にしないよ」と答えると、車の中で葉っぱを吸い出しました。(^^; みんなで回しのみですが「モーグルにはとてもいい。」そうです。(笑)
車に乗っているとき、ビデオを撮っている魔物に対してBが豊富な日本語ボキャブラリーを生かして「こんにちわ〜、まんこにいちゃん」と叫んでいました。変な奴・・・
(注)B、D、Sはアメリカ人モーグル関係者。ちーはたばこを吸いません。



96/02/13 ちーすー ばかなのよ〜

>かずま

>>日本よりずっと選手層の厚いアメリカで、ナマのすごさを目のあたりに
>>しながらも、躊躇せず公認戦にエントリしてしまうなんて、すごすぎる。

馬鹿なの〜〜〜 (^^)
昨日の晩、似非英語で仲良くなった公式戦のジャッジや運営委員のパーチーにもぐり込んで、色々聞いたんだけど、(似非英語+渡米後初飲み会なので正確さにはかなり乏しいけど)USSAというアマチュアの組織(WC狙いね)とProがいくつかあって、USSAのインターマウンテンという、アメリカを4つくらいに割った1つにちーはお邪魔してるの。

その4つの中で一番らしいんだが(日本でいう北海道みたいなモンだろうか?)昨日までの試合の会場が、超急斜面のTellurideで、白馬47のR3よりきついの。そこで、ペースセットのトップの奴はお友達のMichだったんだけど、22秒で滑って、コーチ(元WC選手)が、「Tatsu、今のを見たか? 多分エドガーよりも早い」とかいうの。(^^;

んで、そのコーチは、先週のBrickenridgeのPro Tourに出ていて、準決勝でEdgerと当たって、下のエアーでミスして負けたそうな。んでね、男子のシニアクラスでは、もうちーなんかカスですわ。(笑)詳しくは監督にリザルトを取られたので覚えていないけど60番くらい。(笑)

Todd、HaroldなどのUS Deveropment Teamのメンバーはやっぱり安定しているけど、若手が凄いことをやってくるのよ。21秒とかで滑ったり、バックスクラッチャー・コザック・ツイスターを入れたり(そいつなんか、ルーク・スカイウォーカーっていうの)

とにかく、日本では見れなかったものが身近にあるし、まわりの選手も話をすると、俺が初めて試合に出たのはプロで大変だったとか、金がなかったのでアマから離れて2年間プロにいたとか、そんな反則レベルのお人達が上2/3を占めているので・・・トホホホホ・・・

んでも、日本から来た訳の分かんない青年は覚えやすいらしく、翌日にはTellurideの町を歩くだけで、いろんな所やお店から「Hey! Tatsu-!」といわれちゃいました。タハハハ・・・みっともなかったのね(^^;

>>来年はぜひ日本で競い合いましょう。

へい。その様に、頑張らせていただきます。(^^;

ん〜〜、でも本当に、かずまは凄い早さで遠ざかっていくと感じている今日この頃なのよ。体を大事に、いいリザルトを残してね。(^^)

[解説] 試合はこんなもんですわ。かなり厳しいですね・・・この試合の上位のメンバーっていうのは、Noamに出たりこっちに出たりしている人たちで、そりゃあもぅ、スピードとかはすごいものがあるんです。ここで、安定性の高い選手(ミスの少ない)がWC等へ進むらしい。



96/02/16 grampus RE:雪崩教授に登場してもらわなくては・・

ども>ちーすー

>>日本で滑れないところに行きたいというので、SilverFoxの一番上の崖
>>DoubleBlackDiamondにつれていってあげたら、前にも後ろにも行けなく
>>なってしまっていた。

いいなぁこれ。(笑)思わず想像して大笑いしちまったぜぇ。日本で滑れない所って言われたら普通そうだよね。わたしだってそういう所連れてく。(笑)

「どーしましたぁ? じゃぁ先おりてますよ〜。」
っておいていってあげるのが親切だよね。

初めてウイスラー行ったときは、あらかじめTVで海和さんが、「向こうじゃLast Chanceっていう崖みたいな所とかでも女の子がうきうきして下りて行くんですよ〜」っていう言葉を聞いていて出掛けたので、真っ先にそこ行った記憶がある。

ちょっとビビリながらも、「女の子でも下りられる」って頭の中で海和さんの声がぐるぐるまわって飛び込んだ。連れの連中に、早く来いよ〜って行ったら、「ばいばーい。」って手を振ってるじゃねぇーか。けど、もう登れないんだよね。(^^; 気合い入れて降りたよ。上で手を振った奴らは、「君の友人は勇気がある」と周りの外人に誉められたらしい。
結構楽しかった。(けどもう行かなくていいや(^^;)

[解説] 以前の書き込みに対するコメントだが、日本での上級コースと海外での上級コースの認識の違いはこんなものである。(笑)



なかなかひどい目にあった2月の頭。色々な面で、
アメリカは広いと感じないわけにはいかない日々でした。

細かいことを書けばきりがないので、大まかにこの辺で・・・
だらしないとお思いの貴方、是非敵を討ってきて下さい。(笑)
おねがいします。